「私がやろうとしていることは、古物商許可が必要なの?」
「私でも古物商の許可は取れるの?資格などが必要なの?」
古物商について、このような不安を抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
この記事では、古物商許可が必要となる場合や許可取得の要件などについて詳しく解説します。
古物商許可とは
古物商許可とは、古物の売買などをする場合に必要となる許可です。「古物営業法」がその根拠となっています。
売買の他にも、古物同士を物々交換したり、古物の委託販売をしたりする場合にも許可を取らなければなりません。
古物商許可の管轄は公安委員会であり、都道府県の警察署で許可申請などの手続きをすることとなります。
古物商許可の単位
古物商許可は従来、営業所のある都道府県ごとに取得する必要がありました。
しかし、2020年4月1日に古物営業法が改正され、改正後は営業者単位で許可を取得すればよいこととなっています。
たとえば「古物商事株式会社」が愛知県と岐阜県、三重県に営業所を設ける場合であってもそれぞれの県で許可が必要になるのではなく、1つの許可のみを取得すれば構いません。
ただし、営業所ごとに管理者は必要となりますので、この点には注意が必要です。
そのため、人を雇っておらず1人で営業している個人事業主が複数の営業所を設けることはできません。1人で複数の営業所の管理者を兼ねることはできないためです。
この場合には、新たに営業所ごとの管理者を雇用する必要があります。
管理者については、後ほど解説します。
古物商許可の有効期限
古物商許可には、特に有効期限は設けられておらず、更新も必要ありません。
そのため、一度取得すれば、原則としてずっと有効です。
ただし、不正が発覚した場合や6ヶ月以上休業している場合には許可が取り消される可能性があります。
また、現時点では法人成りの際に許可を法人に引き継ぐ制度がないため、個人事業で許可をとった事業者がその後法人成りをした場合には、法人で新たに許可を取得することが必要です。
なぜ古物商に許可が必要なのか
古物の売買に許可が必要な理由は、リサイクルショップや中古品売買サイトには盗品が紛れこみやすいと考えられているためです。
悪いことを考える人がたとえばCDを万引きした場合、盗んだCDを売ってお金に変えたいと考える場合が多いでしょう。
こうした場合に、警察が盗まれた古物を見つけやすくしたり、そもそも盗品が売られてしまうことを抑止したりする目的で、古物の売買などをする事業者へ許可制度を設けられています。
古物商に許可制が取られていなければ誰が古物の売買をしているのか警察では把握ができず、盗品が売られてしまったら発見はほぼ困難となってしまいますし、泥棒がこっそり盗品をお金に変えることがより簡単になってしまうからです。
古物営業法は、古物商の営業者自身を取り締まるためというよりも、いざ盗品が流れてしまったときに古物営業者に協力してもらおうという趣旨での制度なのです。
この点は、営業者自身を取り締まることが主な目的である風営法などとは異なるところです。
古物商許可が必要な場合とは
古物商許可が必要な場合は、古物営業法で次のように規定されています。
古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
また、この法律でいう「古物」とはいわゆる中古品のみを指すのではなく、次のものを指します。
一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの
法律の書き方は少し難しいですが、上で解説をした目的から、「盗品が紛れこむ可能性があるどうか」で考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
許可が不要な場合と必要な場合は、それぞれ次のとおりです。
古物商許可が不要な場合
古物商許可が不要な場合には、次のケースがあります。
1.自分や家族の中古品をフリマなどで販売する場合
古物商許可が必要となるのは、古物の売買を営業としておこなう場合のみです。
そのため、儲けを得るためではなく、実際に自分や家族が使っていたものを中古品としてフリーマーケットで販売したり、ヤフオクやメルカリなどのインターネットで販売する場合には古物商の許可は必要ありません。
ただし、「自分で使うテイ」で売買をすればよいというものではなく、たとえば一度使ったのみの物品を繰り返し販売するような場合には営業だとみなされ、許可が必要となる可能性があります。
はじめから自分で使うためではなく転売する目的で購入したのであればそれは営業目的であるため、許可が必要となる可能性が高いのです。
2.無償でもらったものを転売する場合
無償でもらったものを転売する場合には、古物商の許可は必要ありません。
古物営業法の当初の目的から考えれば、泥棒が「タダであげる」と盗品を他者に渡す可能性は低いと考えられるためです。
3.有料で回収した不用品を転売する場合
有料で回収した不用品を転売する場合にも、古物商の許可は必要ありません。
これも上記と同じく、泥棒が「お金を払うから引き取ってくれ」と盗品を他者に渡す可能性は低いと考えられるためです。
ただし、不用品(ゴミ)を有料で回収するためには廃棄物収集のための許可が別途必要となり、この許可は古物商許可よりよほど取得が難しく、重い義務が課されるものです。
古物商の許可がいらないからといって他の許可までもが不要とは限らないため、注意しましょう。
4.中古の洋服を仕入れてその生地でバッグを作り販売する場合
中古品を仕入れ、その素材を使って新たなものを製作して販売する場合には、古物商の許可は不要です。
ただし、後に解説するとおり、不用品を修理して販売する場合には許可が必要となるため違いを押さえておきましょう。
また、金属を仕入れてその金属を加工して転売する場合には、古物商の許可は不要であっても、都道府県によっては「金属屑商許可」が必要となる場合があります。
5.電子チケットを転売する場合
古物営業法でいう「古物」とは、「一度使用された物品(略)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの」です。
つまり、「物品」のみが対象であり、物品でないものは対象とされていません。
そのため、「物品」ではない電子チケットは古物営業法の対象外です。
ただし、電子チケットは購入者以外の使用を禁ずる旨の条件が付されている場合も多いため、規約をよく確認して取り扱うようにしましょう。
6.お酒の転売をする場合
古物営業法による「古物」には、次の13品目が定められています。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車及び原動機付自転車
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
この中に、食品やお酒は含まれていません。
なぜなら、食品やお酒は一度口にしたら無くなってしまうものであり、「古物」の概念に馴染まないためです。
ただし、食品を販売するには「食品衛生法に基づく営業許可」が、お酒を販売するには「酒類小売業免許」が必要となります。
同じ理由で化粧品や医薬品も古物商許可の対象外ですが、これらもそれぞれ、別の法令による許可が必要です。
7.自分が売ったもののみの下取りやサービスとしての下取りをする場合
古物営業法では、自分が販売したものを買い戻す場合には、例外的に許可が不要とされています。
これは、盗品が紛れこむ可能性が低いためです。
自分が販売したものを買い戻すというとイメージが湧きにくいかと思いますが、代表的な例としては、自社で販売したもののみの下取りをする場合があります。
また、他社製品も含めた下取りをする場合であっても、その実態が古物を仕入れるためではなく割引サービスである場合にも、古物商許可は必要ありません。
たとえば、「新品購入時に、不要なエアコンを一律1,000円で下取りします」などが許可が不要なケースに該当すると考えられます。
この場合には、買い取ったエアコンを転売しようとして下取りをしているわけではなく、購入動機を高めるための、実質的には単なる割引としての下取りであるためです。
古物商許可が必要な場合
一方で、次の場合には古物商許可が必要です。
1.中古品を仕入れて売る場合
中古品を仕入れて販売することは、古物商許可が必要となる取引の代表的なものです。
たとえば、次のような場合はこれに該当し、古物商の許可が必要となります。
- オークションサイトで仕入れた家電をフリマサイトで売る
- フリマで仕入れた洋服を中古品をネットオークションで売る
- 古本屋で仕入れた本をインターネットで売る
- 中古車販売店や中古家具店を営む
- 「新品未使用」の未開封CDをオークションで仕入れて転売する
「新品未開封」「新品未使用」であっても、いったん一般消費者が購入したものは古物営業法でいう「古物」に該当します。
2.金券や入場券などを仕入れて転売する場合
金券や入場券、乗車券などは「中古」になるイメージは湧きにくいと思います。
しかし、金券や入場券、乗車券なども「古物」に該当し、古物営業法の対象です。なぜなら、古物の定義に次のように明記されているためです。
一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの
そのため、いわゆるチケットショップを営むには、オンライン店舗であっても実店舗であっても、古物商許可が必要です。
3.中古品を仕入れて修理して売る場合
中古品を知れて、修理して転売する場合にも古物商許可が必要です。
たとえば中古車や中古家電などは多かれ少なかれ修理が必要となる場合が多いかと思いますが、修理などの手を加えたからといって古物商許可が不要となるわけではありませんので注意しましょう。
4.仕入れた中古品を分解して部品を売る場合
仕入れた中古品を分解して部品を売る場合であっても、古物商許可が必要です。
車やバイクなどを仕入れ分解し、部品を売るなどが代表的なケースかと思われます。
5.仕入れた中古品をレンタルする場合
仕入れた中古品を売却するのではなく、レンタルして対価を得る場合にも古物商許可が必要です。
たとえば、中古自動車を仕入れてレンタカーとする場合や、中古の書籍やCDを仕入れてレンタルするような場合がこれに該当します。
6.個別査定をして下取りをする場合
たとえば車やバイクの購入時にこれまで乗っていた車やバイクを下取りする場合などには、個別で価値を査定して買い取るかと思います。
この場合には許可が不要なケースで紹介した一律料金でのサービスとしての下取りとは性質が異なり、実質的には古物の買取となんら変わりがないでしょう。
そのため、「下取り」名目であったとしても、個別査定をして買い取る以上は古物商の許可が必要です。
古物商許可取得までの5ステップ
古物商許可を取得するには、次の5ステップが必要です。
まずは許可取得までの全体像を確認しておきましょう。
ステップ1 やろうとしている内容に古物商許可が必要かどうかを確認する
はじめに、おこなおうとしている内容に古物商許可が必要かどうかをよく確認することからスタートです。
許可が必要な場合と不要な場合については上で解説しましたが、迷う場合には管轄の警察署か、許可申請のサポートを依頼する予定の行政書士へ相談されるとよいでしょう。
そもそも許可が不要であれば、この先のステップへ進む必要はありません。
ステップ2 古物商要件を満たすかどうかを確認する
古物商の許可には、いくつかの要件が存在します。要件を満たすことができそうかどうか、このステップで確認しましょう。
許可取得の要件については、後ほど解説します。
ステップ3 必要書類を準備する
要件を満たせそうであれば、必要書類を準備します。
必要書類は後ほど解説しますが、「作成すべきもの」と「取得すべきもの」が存在します。
ステップ4 警察署へ許可申請をする
必要書類の準備ができたら、警察署へ申請します。
申請先は、営業所所在地を管轄する警察署の「生活安全課」などです。課の名称は都道府県などにより異なる場合がありますので、電話などをする際には受付で「古物商の担当のかた」と伝えるとよいでしょう。
多くの警察署では予約制を取っており、予約せずに出向くと長時間待たされたり場合によって担当者が不在で後日の出直しになる可能性がありますので、事前に連絡をしてから出向くことをおすすめします。
ステップ5 許可証を受領する
書類や申請内容に問題がなければ、申請からおおむね40日ほどで許可がおります。
許可がおりたら警察署の担当者から電話が入りますので、許可証を取りに再度警察署へ出向きましょう。
これで、許可取得が完了です。
古物商許可の主な要件とは
古物商許可を受けるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
では、1つずつ見ていきましょう。
欠格要件に該当しないこと
古物商許可には欠格要件があり、個人事業主本人や法人の場合の役員がこれらに1つでも該当してしまうと、許可を受けることができません。
条文では数が多くて細かいのですが、大まかにいえば次の7つです。心配な要素がある方は、より細かく確認してください。
- 破産していて復権を得ていない
- 前科があって刑の執行から5年を経過していない
- 暴力団関係者である
- 住所不定である
- 古物営業許可の取り消しや罰則を受けたことがある
- 心神喪失状態である
- 個人事業主が未成年者である(法人の役員に未成年者がいる場合には問題なし)
管理者をおくこと
古物商の営業所には、営業所ごとに管理者をおく必要があります。
管理者は原則としてその営業所への常駐が求められるため、たとえ近接した営業所であっても、2つ以上の営業所管理者を同一人物とすることは認められません。
ただし、建設業などとは異なり、古物商の営業所管理者には何か特別な資格や要件までは求められません。営業所管理者は、次の欠格要件に該当しない人であれば、誰でもOKです。
- 未成年者
- 破産していて復権を得ていない
- 前科があって執行から5年を経過していない
- 暴力団関係者である
- 住所不定である
- 古物営業許可の取り消しや罰則を受けたことがある
- 心神喪失状態
とはいえ、営業所管理者はその営業所の責任者です。許可要件上はともかく、信用できない人を選任してしまえばトラブルの原因となりかねないため、当然ながら信頼できる人を選任しましょう。
また、管理者が退社などでいなくなってしまった場合には新たな管理者を選任し、14日以内に変更届を提出しなければなりません。そのため、許可管理上はできるだけ辞めにくいかたを選任されることをおすすめします。
ただし、名義だけ借りるなどは言語道断です。
名義借りなど「偽りその他不正の手段」により許可を受けた場合には許可の取り消し事由に該当する上3年以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)の対象となるほか、その後5年間許可を取ることができなくなります。
なお、管理者は個人事業主本人や、法人役員本人であっても問題ありません。
実際、弊所で許可の取得をサポートした案件では、個人事業主が管理者を兼ねるケースが大半です。
原則として営業所があること
古物商許可を営むためには、実体のある営業所が必要です。
しかし、リサイクルショップなど店舗がある場合であればともかく、近年主流となっているインターネットでの取引をする古物商の場合には、営業所などないという方も多いのではないでしょうか。
その場合には、営業所は原則として自宅でも構いません。
ただし、自宅が賃貸物件である場合などには賃貸借契約で使用目的が居住用と定められている場合が多いため、あらかじめ物件オーナーなどへ確認しておきましょう。仮に許可申請にあたって承諾書の提出自体が不要であったとしても、のちに契約違反が発覚すれば物件オーナーとのトラブルになる可能性があるためです。
また、マンションの場合には分譲であっても管理規約で事務所利用が禁じられている場合もありますので、トラブル予防のためにはこちらも確認しておいたほうがよいでしょう。
許可申請時に、賃貸借契約書や物件オーナーの承諾書まで求められるかどうかは、実は都道府県によって異なります。
愛知県では通常不要である一方で、これらがなければ許可申請を受け付けない都道府県もあるようです。
次の2点は都道府県により取扱が異なる場合があるため、迷う場合には管轄の警察署か、許可申請のサポートを依頼する予定の行政書士へ相談されるとよいでしょう。
- 賃貸借契約書や物件オーナーの承諾書の要否
- 他のスペースと区画されていることの要否
ご依頼頂いた場合には、管轄の警察署へこちらで確認を取ります。
なお、営業所には台帳の備え付けやプレートの掲示などの義務があり、実際に営業するには商品の保管場所なども必要となるため、これらを満たすことができないバーチャルオフィス(いわゆる「住所貸し」)は、原則としてNGです。
さらに、取り扱う物品が自動車やバイクなどの場合には、路上に不法に駐車などして近隣の迷惑とななっては困るため、その保管場所が確保されているかどうかについても確認されることがあります。
古物商許可の必要書類を徹底解説
古物商の許可を申請するには、さまざまな書類を準備しなければなりません。
案件や管轄の警察署によりこれら以外の書類が必要となる場合もありますが、ここでは一般的な必要書類を解説します。
古物商許可申請書
古物商許可を申請するためのメインとなる書類です。
書類には「その1」から「その4」までが存在し、それぞれ情報を正確に記載します。
特に、営業者の住所(所在地)や営業所所在地などは「1-1-1」など略して記載せず、「1丁目1番地1号」などその場所の正しい住所を表記する必要がありますので、注意しましょう。
誓約書
上で解説をした欠格事由に該当しない旨の誓約書です。
誓約書は、次の人について準備します。
- 個人事業の場合:個人事業主と営業所管理者
- 法人の場合:役員全員と営業所管理者
なお、実際には最近の前科があったり古物商許可の取り消しを受けたことがあったりと欠格事由に該当しているにもかかわらず嘘をついて誓約書を出しても、警察の調査で簡単にバレると考えたほうがよいでしょう。
そもそも先にバレて許可が取れないことが通常ですし、万が一間違って許可が下りてしまってもその後嘘が発覚すれば許可が取り消されるうえ3年以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)という重い刑に処せられ、そこからさらに5年間は許可申請ができなくなります。
嘘をつくことなく、それぞれの誓約者が内容をよく確認してから誓約するようにしましょう。
略歴書
略歴書とは、次の人についての職歴や居住歴を記す書類です。
- 個人事業の場合:個人事業主と営業所管理者
- 法人の場合:役員全員と営業所管理者
様式は特に定められておらず、必要な事項さえ書かれていればどのような様式で記載しても構いません。
住民票や会社の登記事項証明書など他の提出書類と食い違いのないように記載しましょう。
住民票の写し
住民票は、本籍地入りのものを取得します。
なお、「住民票の写し」とは役所から取得した書類そのもののことを指し、役所から取った書類のコピーを出すわけではありません。
住民票の写しは、次のかたについて準備をします。
- 個人事業の場合:個人事業主と営業所管理者
- 法人の場合:役員全員と営業所管理者
身分証明書
ここで言う身分証明書とは運転免許証などのことではなく、役所から取得する「身分証明書」という名称の書類のことです。
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないことを証明するもので、役所によっては「身元証明書」など名称が少し異なる場合があります。
身分証明書は、次のかたについて必要です。
- 個人事業の場合:個人事業主と営業所管理者
- 法人の場合:役員全員と営業所管理者
身分証明書は、住所地ではなく本籍地の市区町村役場で取得します。
URL疎明資料
ご自身のホームページを開設して古物を売買する場合や、オークションサイトにストアを出店して古物を売買する場合に必要となります。
一方、次の場合にはURL疎明資料は必要ありません。
- ホームページはあるが、単なる会社のホームページなど古物に関する情報の記載がないものである場合
- オークションサイトなどに1点ずつ出品する場合
URL疎明資料はプロバイダから割り当てられた証明書などと説明をされることが多いようですが、昨今ではプロバイダから割り当てられたURLでホームページを開設するケースはそう多くはないでしょう。
そのため、実務上は次のものを提出することが一般的です。
- who is検索の結果の画面印刷
- ホームページとそのURLが分かる画面をプリントアウトしたもの
なお、許可の時点でURLを申請するには、すでにいつでも古物の売買ができる状態となっている必要がある一方で、許可を受けていない以上はまだ実際に古物の売買をすることはできないという矛盾した状態が生じます。
現実的には、ページをこのような状態に留めておくことが難しい場合も多いのではないでしょうか。
その場合には、いったんURLの申請をせずに先に古物商の許可を取得し、許可が下りて許可番号が出た後でURLを届け出るという二段階を踏むとスムーズでしょう。
ただし、この場合には、次の2点によく注意してください。
- 許可を受ける前にはそのホームページで上でも古物の売買はできないこと
- 許可後、古物の売買をするホームページの開設から14日以内に変更届を提出するのを忘れないこと
(法人の場合)登記事項証明書
法人で古物商の許可を取得したい場合には、法人の登記事項証明書を提出します。
登記事項証明書は、最寄りの法務局で取得することが可能です。
ここに記載のある役員について上で解説をした住民票などの各書類が必要となりますので、齟齬のないよう注意しましょう。
(法人の場合)定款
法人で古物商の許可を取得したい場合には、法人の定款のコピーを提出します。
ただ単にコピーをするのみではなく、「以上、原本と相違ありません。」など、原本と同一の内容である旨の記載が必要です。
その他必要となることがある書類
案件や管轄の警察署によっては、これらに加えて次の書類が必要となることがあります。
- 賃貸借契約書や物件オーナーの承諾書
- 営業所物件の平面図
- 車やバイクを取り扱う場合、これらを保管する場所の賃貸借契約書など使用権原を証する書類
古物商許可を取るのにかかる費用はどのくらい?
古物商の許可を取得するのにかかる費用は、主に次の3点です。
では、それぞれくわしく見ていきましょう。
行政書士に依頼した場合の報酬
古物商許可の申請を自分で行うことが難しい場合や、できるだけ手間や時間をかけたくない場合には、行政書士へ手続きを依頼することができます。
報酬は事務所によって異なりますが、日本行政書士会連合会の出している報酬統計によれば、おおむね5万円から5万5,000円程度のことが多いようです。
警察署へ支払う手数料
古物商の許可を申請するには、警察署へ手数料を支払わなければなりません。
手数料の額は、19,000円です。これは、自分で申請をする場合であっても行政書士へ依頼する場合であっても同様にかかる費用です。
書類取得の実費
古物商許可を申請するには、上で解説をしたとおりいくつかの書類が必要となります。
書類の取得にかかる費用は、個人事業であればおおむね1,000円から2,000円程度、法人であればおおむね2,000円から3,000円程度ですが、役員の数が多ければ必要な書類も増えるため、かかる費用も多くなります。
無許可で古物商を営んでしまったらどうなるか
最後に、万が一許可を取らずに古物商を営んでしまった場合のリスクについて確認しておきましょう。
罰則の適用を受ける
古物商の無許可営業は、古物営業法上で定められている罰則の対象となります。
無許可営業の罰則は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
これらは併科される可能性があるほか、法人の場合には法人と行為者の両方が罰せられることもあります。
懲役もあり得る重い罰則となりますので、注意しましょう。
罰則の適用を受ける
無許可営業で罰せられると、その後5年間は古物商の許可を取ることができなくなります。
また、過去5年以内に無許可営業で罰せられた人が役員にいる法人も許可を受けることができなくなるため、古物商を営む法人の役員に就任することは当面の間難しくなるでしょう。
また、他の許認可の欠格事由に該当する場合もあります。
信頼が失墜する可能性がある
無許可で営業していたことが発覚すれば、顧客などからの信頼が失墜してしまいかねません。
信頼を失えば、その他の業務にも影響が及んでしまう可能性があるでしょう。
早急に許可取得の準備がベター
今までバレなかったから、知人がバレていないからといって、今後もバレない保証などどこにもありません。
万が一無許可で古物商を営んでしまっている場合には、早急に許可を取得しましょう。
まとめ
この記事では、古物商許可の基本についてくわしく解説してきました。これから古物商許可を取ろうとされている方にとって、参考となれば幸いです。
古物商許可を申請するには多くの書類を作成したり収集したりする必要があり、慣れない方にとっては非常に煩雑でしょう。自分で申請をする場合、不明点があればすべて管轄の警察署へ相談する必要が生じるほか、作成した書類に不備があれば何度も窓口へ出向かなければなりません。
この記事を書いたなごみ行政書士事務所では、全国対応で古物商許可申請をサポートしております。行政書士が書類を整えることで、スムーズな許可申請が可能となります。
古物商許可でお困りの際には、ぜひ当事務所へのご依頼をご検討ください。