建設業許可と工事業種
建設業許可と一口に言っても、1つの許可を取ればどんな工事でも請け負ってよいわけではありません。建設業許可は、その工事の種類により29業種に分類されており、その業種ごとに許可を受ける必要があります。
例えば「造園工事業」で許可を受けた場合、造園工事については500万円以上の工事を請け負うことができる一方で、別の業種である屋根工事については、引き続き500万円未満の工事しか受けられません。
また、その名称から勘違いされてしまいがちですが、「建築一式工事」の許可を取った場合であっても、例えば建具工事のみを請けようとすると、引き続き500万円未満の工事しか請けてはいけないこととなっています。
こうした事情から、許可を申請し、また運用していく上では、自社の行いたい工事が29のうちどの業種に該当するのかの判断が必要です。
農業用水道やかんがい用排水施設工事の考え方
工事の中には、29のうちどの業種に該当するのかわかりづらいものも存在します。国土交通省のガイドラインに迷いがちな工事につきいくつか例示がありますので、紹介していきます。ここでは、農業用水道やかんがい用排水施設工事についてです。
ガイドラインには、工事区分の考え方として、下記のように解説されています。
上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。
なお、農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事は『水道施設工事』ではなく『土木一式工事』に該当する。
つまり、上下水道工事の工事区分には土木一式工事・管工事・水道施設工事の3つが考えられるが、次のように分類するということです。
- 公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事・・土木一式工事
- 家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事・・管工事
- 上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事・・水道施設工事
- 農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事・・土木一式工事
工事業種は判断が難しい場合もありますが、自社が今後どのような工事を請けていきたいのかを検討した上で、適切な業種での許可申請を行うようにしましょう。
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