建設業法の規定により、一定以上の工事を請ける場合には建設業許可を取らなければなりません。
では、仮に許可を取らないまま大きな工事を請けてしまった場合、どのような罰則の対象になるのでしょうか。
この記事では、、建設業の無許可営業についての罰則を詳しく解説します。
もし、許可を取らずに大きな工事を請けてしまったら、どんな罰則の対象になるのだろう‥?
3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があるほか、その後5年間は許可が取れなくなってしまいます・・!
建設業許可が必要な工事・不要な工事
許認可の中には、事業の規模などに関わらず、その事業を営む以上は許可が必要とされるものが少なくありません。
身近なものでは、飲食店を営む際に必要となる飲食業許可などがこれに該当します。
しかし、建設業を営む場合には、必ずしも許可を取らなければならないわけではありません。
建設業法では、次のように規定されています。
(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
つまり、一定の「軽微な工事」のみを請け負うのであれば、建設業を営んでいたとしても建設業許可は不要です。
建設業許可が不要な「軽微な工事」とは
どのような工事が「軽微な工事」については、建設業法施行令で下記のように定められています。
(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第一条の二 法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。
2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。
これをまとめると、「軽微な工事」には次のものが該当します。
- 建築一式工事:税込1,500万円未満の工事と、金額を問わず150㎡未満の木造住宅工事
- その他の工事:税込500万円未満の工事
つまり、建設業を営む場合であっても、これらに該当する工事のみを請け負うのであれば、建設業許可を取得する必要はありません。
一方で、許可を持たずに「軽微な工事」以外の建設工事を請け負うと、罰則の対象となります。
建設業許可は業種ごとに取る必要がある
建設業許可は、1種類の許可ではありません。
業種ごとに29種に分類されており、請け負いたい業種ごとに許可を取得することとなります。
建設業許可の29業種とは
建設業法で定められた29種の工事業種は、次のとおりです。
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
たとえば、「舗装工事」と「塗装工事」のいずれも500万円以上の工事を請けたいのであれば、舗装工事と塗装工事それぞれで建設業許可を取得する必要があります。
許可を持っていない業種で500万円以上の工事を請けたら罰則の対象
上で解説をしたとおり、建設業許可は業種ごとに取得する必要があります。
そのため、たとえ「舗装工事」の建設業許可を持っていたとしても「屋根工事」の許可を持っていないのであれば、屋根工事については500万円以上の工事を請け負うことはできません。
仮に500万円以上の屋根工事を請けてしまった場合には、無許可営業として罰則の対象となります。
一式工事はすべてをひっくるめた許可業種ではない
その名称から勘違いされてしまいがちですが、「建築一式工事」や「土木一式工事」の許可を取った場合であってもすべての工事が無制限に請け負えるようになるわけではありません。
たとえば、建築一式工事の許可を取得していても、内装仕上工事のみを請ける場合には、引き続き500万円未満の工事しか請けてはいけないこととなっています。
500万円以上の内装仕上工事も単体で請けたいのであれば、建築一式工事の許可のほか、内装仕上工事でも許可を取得する必要があるのです。
1つの業種で許可を取れば他の業種の工事も無制限に請けられるわけではありませんので、誤解のないよう注意しておきましょう。
たとえ建築一式工事の許可を持っていても、許可のない500万円以上の内装仕上工事を単体で請けてしまった場合には無許可営業として罰則の対象となります。
無許可で許可が必要な工事を請けた場合の罰則とは
建設業の無許可営業をしてしまった場合には、次の罰則の対象となる可能性があります。
第四十七条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者
罰金のみではなく、懲役となる可能性もある重い罰則が科せられる可能性がありますので注意しましょう。
また、罰則を受けた場合には、その後5年間建設業許可を受けることができなくなります。
第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。
一~六 略
七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
建設業の許可には建設業法8条でこのような欠格事由が定められており、建設業法に違反をして罰則の対象となったことがこの欠格要件に該当するためです。
無許可営業の影響は甚大なものとなりかねませんので、たとえ「うっかり」であってもおこなってしまうことのないよう注意しましょう。
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