古物商許可、窃盗罪で罰金刑となった場合の注意点

古物商許可

欠格要件とは

欠格要件とは、この事由にあてはまってしまうと許可が取れませんよ、という基準のことを言います。個人事業の場合にその個人事業者についてみられることはもちろん、法人で許可を取得しようとする場合、その法人の役員についても確認されます。

欠格要件は許認可ごとに異なっていて、例えば古物商許可の欠格事由と、建設業許可の欠格事由は同じではありません。

そのため、取得しようとする許認可ごとに、欠格事由に該当していないか、確認をする必要があります。

古物商許可の欠格要件と、窃盗罪

古物商の許可を取りたいんだけど、うちの役員が窃盗罪で罰金刑になっちゃったの。大丈夫かしら?

残念ながら、そのままでは許可は取れないです・・

古物商許可の欠格要件に、窃盗罪での罰金刑は入っているのでしょうか。

結論を言えば、窃盗罪で罰金刑に課された場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していないのであれば、欠格要件に該当します。つまり、仮に個人事業主本人や、役員の中に、これに該当する人がいる場合には古物商の許可はされない、ということです。なお、5年経っていれば大丈夫です。

改正により追加された前科

実は、以前は窃盗罪での罰金刑は、古物商許可の欠格要件ではありませんでした。しかし、平成30年4月25日に公布され、平成30年10月24日に施行された改正法により、窃盗罪により罰金刑に処されたことが、欠格要件として追加されたのです。

インターネットで欠格要件ついて調べると、古い記事の場合には、この改正が反映されていない場合もありますので、注意しましょう。

古物商許可の欠格要件一覧

古物営業法の欠格要件は次の通りです。

※刑法の罪名カッコ書きは、弊所にて追記

(許可の基準)
第四条 公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十五条(窃盗)、第二百四十七条(背任)、第二百五十四条(遺失物横領)若しくは第二百五十六条第二項(盗品譲受)に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
四 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
五 住居の定まらない者
六 第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
七 第二十四条第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
八 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
九 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十一号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
十 営業所(営業所のない者にあつては、住所又は居所をいう。以下同じ。)又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
十一 法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの

欠格要件に該当する役員がいる場合の対応

じゃあ、うちはこのままでは許可が取れないのね・・!前科を隠して申請してもダメかな?

虚偽申請は絶対にやめてください!バレる可能性が高いですし、バレたら大変ですよ。

役員さんの中に欠格要件に該当する人がいる以上は、古物商の許可はおりません。なお、欠格要件を隠して申請してもすぐにバレますし、虚偽申請は罰則の対象となるばかりか、場合によっては法人ごと5年間許可が取得できなくなりますので、絶対にやめましょう。

役員さんの中に欠格要件に該当する人がいる場合で、許可を取得したい場合には、下記の二択になるかと思います。

  1. その役員さんの欠格要件が外れるまで(窃盗罪で罰金になったのであれば、刑の執行が終わってから5年間)を待って、許可申請をする
  2. その役員さんに、少なくとも欠格要件が外れるまでの間、名実ともに役員を外れてもらって許可申請をする

なお、許可申請を行う一瞬の間だけ役員から外したとしても、その後欠格要件から外れていないにも関わらず役員に復活させたとしたら、その時点で許可が取り消される可能性があります。それどころか、場合によってはそもそも虚偽の申請だったということで、罰則が科される可能性もあります。

このあたりは安易に考えず、法令を遵守したうえで申請を行うようにしましょう。

まとめ

この記事を書いたなごみ行政書士事務所では、全国対応で古物商許可申請をサポートしております。行政書士が書類を整えることで、スムーズな許可申請が可能となります。

古物商許可でお困りの際には、ぜひ当事務所へのご依頼をご検討ください。

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