古物商が貴金属を扱う場合に注意すべき「疑わしい取引」とは

古物商許可

貴金属等を扱う場合の注意点

古物商で貴金属を取り扱う場合、特別な注意とかってあるのかな?

犯罪収益移転防止法の規定にも注意しましょう!

平成20年3月1日に施行された犯罪収益移転防止法の規定により、貴金属を扱う場合には、古物営業法の規定に加えて、この法律に基づく義務が課せられています。

その義務とは、次の通りです。

  • 本人確認(200万円を超える現金取引に限る)
  • 本人確認記録の作成・7年間の保存(200万円を超える現金取引に限る)
  • 取引記録の作成・保存(200万円を超える現金取引に限る)
  • 疑わしい取引の、管轄警察への届出(取引金額には関係ありません)

そもそもの古物営業法上の義務と重なる部分は多いですが、取引記録の保存期間が伸長されていることや、また疑わしい取引の届出などが義務付けられている点に、特に注意が必要です。

なお、これらの義務に違反すると、公安委員会より、是正命令を発せられることがあります。この是正命令に違反した場合は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることとなります。

「貴金属等」とは

ここで言う「貴金属等」とは、次のようなものを指します。

  1. 金、白金、銀及びこれらの合金(貴金属)
  2. ダイヤモンドその他の貴石、半貴石及び真珠(宝石)
  3. 1及び2の製品

これらを取り扱う場合には、特に注意しておきましょう。

「疑わしい取引」とは

警察に届け出るべき「疑わしい取引」って、どういうケースのことだろう?

前述の通り、貴金属等を取り扱う場合、「疑わしい取引」の場合には管轄の警察署へ届け出なければなりません。

では、疑わしい取引とは、どのようなものを言うのでしょうか。

参考として、ガイドラインが公表されています。

抜粋すると、下記のようなものが疑わしい取引に該当しうるとされています。下記を一読され、参考にされると良いでしょう。

1 全般的な注意事項
2から4までの事例は、事業者が「犯罪による収益の移転防止に関する法律」第9条に規定する疑わしい取引の届出義務を履行するに当たり、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として特に注意を払うべき取引の類型を例示したものであり、個別具体的な取引が疑わしい取引に該当するか否かについては、顧客の属性、取引時の状況その他事業者の保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案して事業者において判断する必要があります。
したがって、これらの事例は、事業者が日常の取引の過程で疑わしい取引を発見又は抽出する際の参考となるものですが、これらの事例に形式的に合致するものがすべて疑わしい取引に該当するものではない一方、これに該当しない取引であっても、事業者が疑わしい取引に該当すると判断したものが届出の対象となることに注意する必要があります。
2 顧客からの買取り時に着目した事例
(1) 同一人物が、短期間のうちに多数の宝石・貴金属等の売却を行う場合
(2) 同一人物が、短期間のうちに同一種類の宝石・貴金属等の売却を繰り返す場合
(3) 顧客の収入、資産等に見合わない高額の宝石・貴金属等の売却を行う場合
(4) 売却する宝石・貴金属等が顧客の所有物であることに疑いがある場合(例えば、男性が女性物の宝石・貴金属等を多数持ち込む場合)
(5) 売却することを急ぎ、市場価格を大きく下回る価格での売却でもいとわない場合
(6) 多数の店舗において宝石・貴金属等を売却し、又は売却しようとしていることがうかがい知れる言動がある場合
3 顧客に対する売却時に着目した事例
(1) 多額の現金により購入する場合
(2) 1回当たりの購入額が少額であっても頻繁に購入を行うことにより、結果として多額の購入となる場合
(3) 顧客の収入、資産等に見合わない多額の購入を行う場合
(4) 数人で同時に来店し、別々の担当者に多額の現金取引を依頼する場合
(5) 短期間に多数の宝石・貴金属等を購入するにもかかわらず、各々のデザイン等に対してほとんど関心を示さない場合
4 その他の事例
(1) 本人確認の際に顧客が提示した身分証明書等が偽造である疑いがある場合
(2) 暴力団員、暴力団関係者等が取引に関わる場合
(3) 顧客が取引の秘密を不自然に強調する場合及び届出を行わないように依頼、強要、買収等を図った場合
(4) 法人の実態がないとの疑いが生じた当該法人の関係者が取引に関わっている場合又は本人確認書類等に記載された本人特定事項(名称、所在地等)に虚偽の疑いがある場合
(5) 自己のために活動しているか否かにつき疑いがあるため、真の所有者の確認を求められたにもかかわらず、その説明や資料提出を拒む場合
(6) 自社従業員の知識、経験等から見て、取引の態様が不自然な場合又は顧客の態度、動向等が不自然な場合
(7) 犯罪収益移転防止管理官(※)その他の公的機関等から、犯罪収益に関係している可能性があるとして照会や通報があった取引を行う場合
(※)警察庁刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止管理官(JAFIC)

まとめ

この記事を書いたなごみ行政書士事務所では、全国対応で古物商許可申請をサポートしております。行政書士が書類を整えることで、スムーズな許可申請が可能となります。

古物商許可でお困りの際には、ぜひ当事務所へのご依頼をご検討ください。

※恐れ入りますが、ご依頼いただいた方へのサポートに注力するため、「自分で手続きはするけど、ちょっと聞きたい」という電話やメールでのご相談はお受けいたしかねます。ご自身で手続きをおこなう前提でやり方だけが無料で知りたい、という方は、管轄の警察署へ直接ご連絡ください。

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