建設業の経営管理責任者は何名必要?

建設業許可

建設業許可の取得に際しては、経営管理責任者(「経管(ケイカン)」と略されます)が必要です。

では、経営管理責任者は何名必要なのでしょうか。

この記事では、経営管理責任者と専任技術者の必要人数について詳しく解説します。

建設業許可を取りたいのだけど、経営管理責任者は何人必要なんだろう?
取りたい業種は、「土木工事」と「とび・土工」「石工事」の3つなのだけど。

許可を取得する業種が複数あっても、経営管理責任者は1人でOKですよ。
一方、専任技術者は複数必要な場合があります。

経営管理責任者とは

説明する女性

経営管理責任者とは、その名称のとおり、経営を管理する責任者を指します。

建設業許可を取得するには、経営管理責任者が必須です。

はじめに、経営管理責任者の要件や必要人数を見てきましょう。

経営管理責任者の要件

経営管理責任者になれるのは、どのような人なのでしょうか。

経営管理責任者の要件は、主に次のとおりです。

なお、この他に複数人の経験を積み重ねて経営管理責任者を申請する方法もありますが、これは比較的特殊なケースであり証明も困難であるため、ここでは基本的な要件を解説します。

経営管理責任者の現在の役職

経営管理責任者は、その建設業者の「経営」を管理する人です。

そのため、経営管理責任者は許可を取得する建設業者において、原則として次の役職でなければなりません。

  • 個人事業主の場合:個人事業主本人または登記された支配人
  • 法人の場合:常勤の役員(監査役などは不可)

いわゆるヒラの社員を経営管理責任者とすることはできませんので、注意しましょう。

経営管理責任者に必要な経験年数

経営管理責任者は、建設業における経営を適切に管理しなければなりません。

そのため、次に記載したうち、いずれかの過去の経験が求められます。

  1. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験
  2. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
  3. 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

このうち、「2」や「3」は例外的なケースであり、原則として「1」で考えておくとよいでしょう。

たとえば次のようなケースでは、上記「1」の要件を満たすことができます。

  • いま役員を務めている会社(建設業)で、5年以上役員を務めている
  • いま役員を務めている会社(建設業)はまだ設立して2年だが、その前に3年以上個人事業で建設業を営んでいた
  • いま役員を務めている会社(建設業)の役員となってまだ1年だが、その前に他の建設業者の役員を4年以上務めていた

なお、役員経験を積んだ会社や個人事業は建設業を営んでいさえすればよく、その会社が建設業許可を取得していたことまでは求められません。

ただし、経験は自己申告のみで認められるわけではなく、経験の態様に応じて当時の確定申告書や工事に関する契約書など証拠となる書類を提示する必要があります。

経営管理責任者は何人必要?

経営管理責任者は、会社(または個人事業)に1人いれば構いません

たとえその会社で「土木工事」と「とび・土工」「石工事」など複数業種の建設業許可を申請する場合であっても、1人いれば要件を満たします。

この点、次で解説をする専任技術者とは異なりますので、混同しないようにしておきましょう。

それなら、経営管理責任者は、建設業をずっとやっているこの会社で5年以上代表取締役をしている私だけでよさそうですね。

専任技術者とは

工具を持つ男性

専任技術者とは、営業所に常勤する技術的な責任者のことです。

工事の契約などを技術的な側面から担う立場の人だと考えておくとよいでしょう。

建設業許可を取得するには、建設業法上の営業所ごとに常勤の専任技術者を配置しなければなりません。

専任技術者の要件

取得しようとする許可が一般建設業の場合には、次の人が専任技術者としての要件を満たします。

  1. 所定の資格を保有している者
  2. 所定学科の高校または大学卒業後、5年または3年以上の実務経験のある者
  3. 許可を取得しようとする業種について10年以上の実務経験のある者

なお、取得しようとする許可が特定建設業である場合には、この要件がさらに加重されます。

特定建設業の許可は、元請けとして工事を請け、かつ1件の工事あたり税込合計4,000万円(建築一式工事であれば6,000万円)以上を下請けに出す場合に必要となる許可です。

専任技術者は営業所ごとに必要

専任技術者は、建設業の営業所ごとに配置しなければなりません。

そのため、営業所が複数ある場合には、少なくとも営業所の数分だけは専任技術者が必要です。

何が建設業の営業所に該当するのかはこちらの記事をご参照ください。

なお、専任技術者は営業所に常勤する必要がありますのでいくら近接していたとしても異なる営業所の専任技術者を兼務することはできません。

1人で複数工事の専任技術者となることはできるのか

専任技術者は、許可を取得しようとする工事業種ごとに必要となります。

しかし、1人の専任技術者が複数工事の専任技術者としての要件を満たすのであれば、1人の専任技術者で複数業種の専任技術者となることは可能です。

資格で要件を満たす場合と経験年数で要件を満たす場合のポイントは、次のとおりです。

資格で専任技術者の要件を満たす場合

どの資格でどの業種の専任技術者要件を満たすのかは、次の表で確認することができます

専任技術者の資格を満たす国家資格等一覧

たとえば「1級土木施工管理技士」の資格を持った人がいれば、この人だけで少なくとも「土木工事業」「とび・土工工事業」「石工事業」「鋼構造物工事業」「舗装工事業」「しゆんせつ工事業」「塗装工事業」「水道施設工事業」の専任技術者の要件を満たすことができます。

そのため、「土木工事」と「とび・土工」「石工事」の3業種の許可を取りたい会社(営業所は1か所)に1級土木施工管理技士を持った人がいれば、専任技術者はこの人1人で構いません。

ただし、やみくもに許可をとってしまうと、毎年の事業年度終了届など工事の管理が煩雑となるほか、配置技術者が不足して運営上困ってしまう事態となるかもしれません。

そのため、必要な業種のみの許可を取ることをおすすめします。

経験で専任技術者の要件を満たす場合

10年の実務経験で専任技術者の要件を満たそうとする場合であっても、1人の人が複数業種の専任技術者となることは不可能ではありません。

しかし、10年の実務経験はその業種ごとに必要となる点に注意が必要です。

たとえば、1人の専任技術者がおおむね50%ずつの割合で「とび・土工」と「石工事」の現場経験を積んでいる場合、最低20年(「とび・土工」で10年+「石工事」で10年)の実務経験が必要となってしまいます。

そのため、1人の人が複数業種の専任技術者となることは不可能ではないものの、業種分の年数が求められる点に注意しましょう。

いくら「ハードワークをしていたから、10年で2業種とも経験を十分に積んだ」などと主張したとしても、残念ながら1年は1年としかカウントすることはできません。

経営管理責任者は他の役職などと兼任できるのか

マルバツの札を持つ女性

経営管理責任者は、他の役職などと兼任することができるのでしょうか。

最後に、経営管理責任者の兼任について見ていきましょう。

その営業所の専任技術者との兼任はOK

建設業許可を取得するには、上で解説をしたとおり、経営管理責任者と営業所の専任技術者が両方必要です。

この、経営管理責任者と営業所の専任技術者は、兼任が認められています

なかでも、個人事業主や法人成りをしたばかりの企業では、ほとんどのケースで「経営管理責任者=営業所の専任技術者」としていることでしょう。

他の建設業者の経営管理責任者や専任技術者との兼任はNG

経営管理責任者は、その建設業者に常勤している必要があります。

そのため、他の建設業者の経営管理責任者や他の建設業者の専任技術者との兼任は認められていません

2つの企業に常勤することは、物理的に不可能であるためです。

(リモートワークが拡がっている昨今では2社の経営をどちらも真剣に管理することは不可能ではなさそうですが、2022年4月現在では兼任はNGです。)

もし、以前の勤務先である建設業者で経営管理責任者や専任技術者として登録されたままになっている場合には、自社で許可申請をする前に変更してもらっておいてください。

他社の代表取締役との兼任可否は都道府県による

たとえば家建社長が今回建設業許可を取得しようとする「家建株式会社」の代表取締役である一方で、建設業を営む別会社「ABC株式会社」の代表取締役でもあるケースもあることでしょう。

この場合に、家建社長は「家建株式会社」の経営管理責任者になることはできるのでしょうか。

実は、この結論は都道府県によって異なり、NGだという都道府県もあるようです。

愛知県の場合には今のところ、家建社長が「ABC株式会社」では非常勤であり「家建株式会社」で常勤なのであれば、「家建株式会社」の経営管理責任者となることが認められています

※弊所のお客様でもこの例は数件実績がありますが、個別事情によって異なる可能性がありますので、申請時には必ず事前に管轄の建設事務所へ相談してください。

ただし、当然ながら「ABC株式会社」と「家建株式会社」で両方の経営管理責任者となることはできません。

また、「ABC株式会社」に常勤しているのであれば、「家建株式会社」には常勤することが不可能ですので、経営管理責任者の要件は満たしません。

なお、常勤かどうかは、原則として健康保険証に印字された事業所名称で確認されます。

なごみ行政書士事務所の建設業許可申請サポート

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